イチローさんの銅像がシアトルで完成。除幕式で起きたハプニングと、かつてのライバルを巡る冗談【4/10 T-モバイルパーク】

折れちゃった MLB 2026

2026年4月10日。T-モバイルパークでイチローさんの銅像の除幕式がありました。除幕式に参加したのは、かつて共に戦った仲間たちです。ケン・グリフィー・ジュニア氏に、エドガー・マルティネス氏。参加しているレジェンドたちは、なんか楽しそうに見えました。

少し離れた場所では、現役のエース、フリオ・ロドリゲス選手が私物のビデオカメラを回していました。師匠と慕うイチローさんの晴れ姿を一秒も逃すまいとする、弟子の熱い思いが感じられました。

「Broken bat」と、かつての天敵の名前

幕が地面に落ちたとき、会場がどよめきました。 右腕を垂直に立て、バットを構えるあの象徴的なポーズ。その中心にあるはずのバットが、根元から折れ曲がっていたのです。

その瞬間、空気が凍りついたと思います。除幕を手伝ったグリフィー・ジュニア氏は目を丸くし、「俺はやってないぞ」と両手を上げて、無実をアピールしているようでした。その静寂を破ったのは、イチローさん本人の笑い声でした。

「Broken bat(バットが折れちゃった)」イチローさんはそう言って像を指差し、手を叩いて笑いました。そして、瞬時にひとつの名前を挙げました。 「まさかここでも、マリアノ・リベラにバットを折られるとは思いませんでした」

マリアノ・リベラ。かつてヤンキースの守護神として君臨し、鋭く食い込むカッターで数多のバットを粉砕してきた男。現役時代、イチローさんもまたリベラ氏に何度となく苦しめられました。

この機転の利いた一言で、困惑していた観衆は一気に爆笑の渦に包まれました。 シアトルのファンだけでなく、ニューヨークのヤンキース公式SNSまでが「年月が経っても、リベラはまだバットを折っている。イチロー、ごめんよ」と即座に反応したほどです。

「足りない一票」と、不完全であることの肯定

その時、イチローさんは折れたバットを見上げながら、自らの足跡を振り返るように語りました。 「今日もバットが折れちゃって。野球殿堂の時も、満票まであと1票足りなかった。常に僕には何かが足りない。その戒めのために、このバットは良かったなと捉えることにします」

現役時代は完璧を求めて、日々研鑽を積んでいたことをドキュメンタリー番組で見たことがあります。そのイチローさんが、目の前の「不完全な形」と自分の実績を重ねていました。

さすが、世界の大打者は器の大きさが全然違うなぁと、改めて思いましたし、尊敬の念が、さらに深まりました。

イチローさんにとっては、すべてがスムーズに進むことよりも、何かが欠けていたり、思い通りにいかなかったりすることの方が、現役時代の自分と重なるのかなぁと思いました。

修繕された後、再び姿を現した銅像は、あの日私たちが何度も目にした、背筋を伸ばして静かにピッチャーを見据える「あの姿」そのものでした。

言葉の壁を越える、スペイン語の気遣い

式典の後、対戦相手のアストロズを率いるジョー・エスパーダ監督が、あるエピソードを明かしてくれました。 監督の母国語であるスペイン語で、彼は祝福への感謝を伝えたといいます。

「彼は本当にいい選手だ。それ以上に、最高な人間だよ」 エスパーダ監督といいました。イチローさんは現役時代、中南米出身の選手たちと心を通わせるため、独学でスペイン語を真案んでいたとのことです。

イチローさんが現役時代に他者への敬意を積み重ねてきたからこそ、弟子であるフリオ・ロドリゲスがビデオを回し続け、敵将が手放しで称賛したのだと思います。

式典には、弓子夫人と愛犬の一弓(いっきゅう)も出席していました。 「こういう機会はもうないことなので。最後に家族を連れてきたかった」

普段、イチローさんはあまり私生活を語りません。この発言で、家族への深い愛情と、本当に家族を大切にしていることが、僕にもわかりました。改めて、カッコいいなぁ、思うひと時でした。

「生きる」という、正解のない旅

「1995年に初めてシアトルに来たときは、ここでプレーするとも思っていなかった。なかなか面白いなと思います、生きるって」マイクの前でイチローさんは、静かにそう語りました。

イチローさんが大切に日々積み重ねてきたことは、妥協を許さず、毎日同じルーティンを繰り返すことでした。 それが正解だったのかどうか、自分にもすぐには分からなかった、と言っていました。

「信念を持って取り組むということが大事で。正解ではなかったとしても、それはそれで次に生かす。それが『生きること』だと思うので」正解を求めるのではなく、信念を貫き続けることの大切さ、強さを改めて教えられました。

バットが折れるハプニングを楽しみ、足りない一票を自らの糧にする。この器の大きさそのものが、引退してもなお人々を引きつけてやまない理由なのだと思います。

「あのポーズを僕がやらなかったら、誰かがやったかもしれない。それが僕が最初で良かった」そう言って笑うイチローさんの横顔は、やっぱり、かっこよかったです。

まとめ

  • 銅像除幕のハプニング: 布を外した際、バットが折れ曲がっているアクシデントが発生。
  • リベラ氏へのジョーク: かつての宿敵を引き合いに出した発言で会場を沸かせ、ヤンキース公式も反応。
  • 不完全さの肯定: 殿堂入りの「1票不足」に触れ、ハプニングを「自らへの戒め」として受け入れた。
  • 周囲の愛: 弟子ロドリゲス選手が撮影し、敵将もスペイン語での交流を含めた人間性を称賛。

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