担任として進路指導をしていると、生徒本人の希望と、保護者の希望がずれることがあります。そのとき僕がどう動くか、決めているやり方があります。
この記事でわかること
- 本人面談と保護者面談を分けて行う理由
- 最終判断を家庭に委ねる考え方
- 生徒側が折れるときに担任が伝えていること
- 今でも覚えている、ある生徒の一言
- 大きくもめたケースがない理由
本人を交えず、保護者との2者面談を基本にしている
親子の希望がずれたとき、僕は本人を交えず、保護者との2者面談を基本にしています。まず本人との面談を先に行い、そこで生徒の考えや希望を聞き取ります。そのうえで保護者との面談を行い、本人の希望を保護者にお伝えして、ご家庭で共有されているかを確認します。担任としての考えもそこで伝え、家に持ち帰っていただいて、ご家庭で話し合っていただきます。
先生によっては3者面談で行う先生もいます。担任、生徒、保護者の3者での面談の場合、保護者と生徒の関係を見ることができる、保護者を前にした生徒の態度がわかる、生徒と保護者双方の話を同時に聞けるので一度の面談で確認が取れる、といった利点があります。それでも僕が3者面談をせず分ける理由は、保護者が自分の子供の前では話しづらいことがある可能性があるからです。特に成績に関して、生徒には言えないけれど保護者には内々にお伝えしたいこともあります。どちらの形にも一長一短があるので、状況によって判断し、使い分けています。ご家庭から3者面談の希望があれば、ご希望通り実施します。
最終判断はご家庭です。担任や学校の考えを押し付けることはありません。そこまで責任が持てませんし、責任の果たし方がないからです。最終的には自分の人生なので、生徒自身が責任を背負うことになります。そのことは必ずお伝えします。学校としては、担任としての情報をお伝えする、質問に答える、というのが役割になります。実際には、進路を本人の意思に任せているご家庭が、半数くらいあるように感じています。
担任の意見、学校としての意見を求められたり、自分の子供に合う進路先を聞かれることもあります。そのときは、自分の今までの経験や、進路指導部長をはじめとする進路指導部の先生方、同じような状況の生徒の進路指導にあたられたことのある先輩の先生方に事前にアドバイスをいただいておき、それを面談でお伝えするようにしています。
生徒に伝えるのは、成績に基づいた現実的な話
担任から生徒に伝えるのは、成績に基づいた現実的な話です。過去の先輩たちの選択なども伝え、進学した大学での様子なども、知っている限り伝えます。大学受験の場合、浪人はあり得るのか、一人暮らしはありなのか、地方での一人暮らしはありなのか、ご家庭の意向を確認します。希望する大学、成績から判断して現実的な大学、滑り止め、それぞれを確認し、こちらからもデータに基づいてご提案します。
あくまでもご家庭の判断に対して、担任として確認させていただいたり、意見を述べさせていただいたりする、という形です。自分の意思を曲げない生徒、考えを変えない保護者もいます。それでも学校としては責任を取れないので、最終判断はご家庭にしていただきます。
一般選抜での受験の場合、成績が足りていなくても最後まで諦めないでがんばるように伝えます。現役生は、受験直前にそれまでの勉強がつながることが多いので、諦めないことが大事だと考えています。どのような状況でもここなら受かるだろうという滑り止めの大学を考えていない生徒はいますし、ご家庭でも考えていない場合はあります。この場合はこちらから数校、候補を挙げてお勧めします。ここに時間がかかる場合はあります。受験料が増える、つまりお金の問題も含んでいるので強制はできないのですが、このままだとどこも受からない、ということを言葉を選びながら時間をかけて説明することはあります。
大きくもめたケースはない
親子の希望がずれても、大きくもめたケースはないと思っています。実際のところはわかりませんが、少なくとも僕の前で大きな対立になったことはありません。生徒の人生に責任を持てない以上、担任としての自分の考えを押し付けることはせず、あくまでも提案にとどめています。また、今の学校の生徒はとても素直で大人しい生徒が多く、そのような生徒の保護者だからこそ、大きくもめることがないのかもしれません。面談で保護者が感情的になった経験も、僕にはありません。
卒業後に「あのときの話を聞いてよかった」と言われた経験は、進路指導に関しては特にありません。伝えたことがどう受け止められているのか、こちらからはなかなかわからないものだと感じています。
「お世話になった先生方に申し訳ない」という一言
進路面談で今でも覚えている一言があります。志望校に受からなかった生徒が、涙ながらに「お世話になった先生方に申し訳ない」と言っていたことです。申し訳ないことなど、何もないんですけどね。生徒がそこまで思ってくれること自体に、教員としての救いを感じます。
ポイント
担任にできるのは、結論を急がせず、本人と保護者それぞれに丁寧に情報を伝えること。最終判断は家庭に委ね、押し付けないことを大事にしています。
まとめ
進路指導で親子の希望がずれるのは、決して珍しいことではありません。本人面談と保護者面談を分けて行い、成績に基づいた現実的な情報を伝えたうえで、最終判断はご家庭に委ねる。それが、僕が長年かけてたどり着いたやり方です。大きくもめたことも、保護者が感情的になったこともないのは、この徹底のおかげなのかもしれません。
まとめポイント
- 本人面談を先に行い、保護者には2者面談で希望を共有する。3者面談との使い分けもしている
- 成績に基づいた現実的な情報を伝え、最終判断は家庭に委ねる
- 大きくもめたケースや、保護者が感情的になった経験はない
- 「先生方に申し訳ない」と涙した生徒の一言が心に残っている


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